母。愛ゆえの妄想。その2

タロウは、世界一可愛い。
誰がなんと言おうと、誰が言わなくても当然だけど、この世に存在する生命の中で、最も可愛い。

そんな最強可憐なタロウの光り輝く生命のチカラが、最悪に邪悪な集団の目にとまる。
あまりにも可愛くて、ものすごく天才で、そらもうすごく可愛いから、邪悪なヤツラには眩しくて眩しくて、もう邪悪なんでおかしくなってるから、どうにかしてタロウを貶めたい、とか思うに至る。

邪悪な集団は、闇のチカラを信仰し、悪霊を呼び出し、あらゆる邪悪を操る超恐ろしいヤツラだ。

ヤツラの本拠地は、どっかの洞窟奥深くにあって、その巨大な空洞の中に、ご神体として山羊の頭を持つ悪魔像のものすっごいでっかいのが作られていたり、生け贄をささげる為のマグマが入った穴なんかがある。
(参照:インディージョーンズ魔宮の伝説)

そんなヤツラに捕らえられてしまったタロウ。
さっそく怪しげな儀式がはじまる。
ドンツクドンツク太鼓の音と、低いうなるような祈り声、祈祷師は、何語かわからない言葉を叫び、周りにいる数千人の信者が、その言葉に続く。

そこに生け贄の台座に乗せられたタロウが登場。
既に真っ赤な顔で、んぎゃーんぎゃー!と泣いている。
手は赤ちゃんの時のように胸の所でまるまっている。

その時母は、巨大な球形の石に追われたり、落ちたり、虫に襲われたり、は虫類に襲われたり、骸骨みつけたり、トラップよけたり、とにかくタロウの所に向かっている。
(参照:インディージョーンズ魔宮の伝説)

祈祷師の祈りのボルテージはどんどんあがっている。

祈祷師の足下にある深いマグマの穴が、応えるようにマグマを吹き上げる。
どうやら、ただのマグマではない。
祈祷師が、マグマの中にありとあらゆる邪悪な霊を呼び込んでいるようだ。
生き物の様に動くマグマ。ときおりいくつもの人の顔に見えるような形にもなっている。

祈祷師に抱えられるタロウ

「うぎゃーーー!!!!」泣き叫ぶが、恐怖で身体は動かない。

数千人の信者が一斉に同じ呪文を叫び出す。

祈祷師に抱えられたタロウは、深いマグマ穴の上に。

待ちかまえるように揺れてうねるマグマ。

祈祷師の手がタロウから離れる。

マグマ穴に落ちていくタロウ

その時。

すごい早さで駆け込んできた母が、空中でタロウを抱きかかえる。
しかし、タロウを抱きかかえたそのままで、マグマ穴に落ちていく。

母は、腕にチカラを込め、抱えているタロウを思い切り放り投げる。穴の外へ。
タロウは、うまく穴の外に投げ出されるが、母はそのまま落ちていく。

母は、邪悪な霊と一体化したマグマの中に消えていく。

あまりに突然な事に驚き、一瞬動きが止まっていた邪教集団だが、祈祷師が何語かわからない言葉でなにやら叫ぶと、信者がそれに応え、また、タロウをマグマに投じようと、抱え上げる。

その時。邪悪な霊と一体化していたマグマに変化が。
母を飲み込み、その母をも自分の一部として取り込もうとしていた邪悪な霊達は、母がタロウを思うあまりに深く激しい愛に触れ、逆に母に取り込まれつつあった。

苦しげにもがき、渦巻くマグマ。
徐々に赤黒かったそのマグマが人の形になっていく。

母だ。

邪霊を浄化し、そのパワーを取り込み、巨大化した母の姿になっていく。

巨大化した母は、驚きに固まる邪教集団から、優しくタロウを奪い取り、そっと母の手のひらに。

「さぁ、おうちに帰ろうね。」

巨大化した母は、邪教集団の巣を片足で破壊しつつ、地上に戻る。

後日談
巨大化した母は、災害時の特別救援活動に従事(山崩れとか手で掘り返すよ)。
国家から大事に扱われ、母子仲良く暮らす。