「ひぐらしのなく頃に」完結後のまとめ

2年以上にも渡って付き合ってきた同人ゲーム「ひぐらしのなく頃に」が完結しました。
それなりに感慨深いものがありますが、今は正直に言うと、「がっかりした」です。

私が初めて買った製品版は、「暇潰し編」発表の時です。
過去に書いていたブログや日記なんかに、「綿流し編」「祟殺し編」「目明し編」「罪滅し編」「皆殺し編」を読んだ当時の感想が残っていますので、それらの感想をまとめておこうと思います。

完結した今、それらの感想を見直すのは、多少意地悪な視点ではありますけど。
そういう整理をしないと、自分の中で、ちゃんと終われない気持ちなのです。

というワケで、以下、それぞれ読んだ当時の感想です。

<<<綿流し>>> 2004/07/15

「綿流し編」、さいしょ「せんながし」かと思ってた。
言葉の本当の意味を知った時は、ぞっとした。いや、もう。
なんかね、もう。梨花ちゃんケナゲに踊ってたりとかしてさ。

いや、もうね、本当「魅音編」なのねぇ。
なんか今回はレナが豹変せずにすごく冷静で頼もしい態度だったから、びっくり。
あと、この編で一番怖いのは、やっぱ、あの電話で豹変するトコでしょ。
泣き声から、笑い声に変化する所までは予想できたけどさ、でも、あんなすさまじい笑い声になるとは思ってなくて、やっぱり「ひぃ!」ってなったし
続けて、いきなり目が出た時は、もう、固まりましたよ
声もでないし、リアクションもとれなかったよ。

うーん。それにしても、救いがない。。。「鬼隠し編」では無傷だった梨花ちゃんと沙都子ちゃんが、あんな事に。
いやー、でも、もう、すっかりわかんなくなっちゃったよ。
何が謎で、何が何なんだったっけなぁ。
公式サイトとか見ると、魅音と詩音途中から入れ替わってた説があったりするし。
でもなぁ、梨花ちゃん、注射器持ってるし。
レナの推理もできすぎっちゃ、できすぎだし。
つか、鷹野三四。あんたが、一番わからない。
死んでたんでしょ?しかも、何、その趣味。すごい資料持ってるし。
一介の看護婦が趣味で調べる範疇を超えてるってばさ。
なんか他に目的があったと思うんだよねぇ。。

回答編が出たら、どんな風になるんだろうなぁ。
きっと、勝手に期待はずれだったって怒る人とか、さらにその回答編の矛盾点を探す人とか、それはもう、いろいろ言われるに決まってるyよね。
作者さん、そういったプレッシャーの中、お仕事もしながら書くのって大変だよねぇ。

<<<祟殺し>>> 2004/09/28

ひぃ!最凶!!
なにが最凶って、圭一が(笑)
沙都子を自宅に監禁する方法を一晩中妄想するし(笑)
変な八つ当たりで、自分を棚に上げてみんなを罵倒するし(笑)
自力でトリップするし(笑)
おじさん、殺っちゃうし(笑)
沙都子ちゃん、全裸ですよ!見えてるから、隠して、隠してー!!
あと、梨花ちゃん!!!!全裸だそうですよ!!丸出しです!色々!

全裸幼女だらけの雛見沢。

3編通して、キャラクター達の行動原理や性格が同じという事で、
ノベルゲームの分岐点の選択で、こんな風に物語が変わるんだよ、というのを
すごく壮大で贅沢な見せ方をしてもらってるのね。これは面白いよ。
3編やって、初めて、本当の面白さに気づく。

「鬼隠し編」「祟殺し編」では出てこなかった鷹野&富竹の祭具殿侵入は、
描写がなかっただけで、物語通して、行われてるはずなのよね。
そういう、見せてないけど起きている事象の流れっていうのが、どの編でも必ずあるんだよね。

ていうか、何が謎で、何が事件なのかすら、見失いつつある。
どの事件についての謎が、根本なのか、わからない。
全てはばらばらなようでいて、全てつながっているようにも思える。
つながっていると思うと、ばらばらなようにも思えるし。
面白いなぁ。

<<<目明かし編>>> 2005/01/25

いや、面白かった。翻弄された。
見せ方がまた凝っていて、うわーと驚いた。
あんな見せ方ができるなんてなー。
詩音の発言と、公由おじさんの発言の裏で暴発する「あれ?」はすごかった。
あの見せ方はすんごい効果的だ。

詩音視点から語られる「綿流し編」は、すごい面白かった。
ストーカー気質の詩音(笑)
すげー壊れっぷりを披露してくれましたよ。ものすんごいよ。
黒い一人称視点の話につきあうのは面白いです(笑)
徐々に徐々に、想うが故に確実に、普通の道から逸脱していく。

こーゆー風に他の出題編も回答されてくのかなぁ。
すげえなぁ。
どんだけの人が、どんな理由で、どこまで狂っていくんだろうか。

「目明かし編」は、「綿流し編」の解決編って事だけど、謎はまだまだ沢山ある。
全てが解決されてるワケじゃなく。
謎を残したままにしてる配分も、いい感じ。
詩音が知らない事は、物語からは無関係な位置にあって、それは当然だし。

ただ、詩音は、実際に雛見沢住んでいるワケじゃないし、ダム闘争の時もすでに部外者だったワケだから、「雛見沢連続怪死事件」とは関わっていない人物だから、本当の所、この目明かし編は、番外編に当たるんじゃないだろうか。
そういう意味では、まだ「解答」ではないのかもしれない。
実際、新しくわかった事実はたいして無いもんなぁ。
まぁ、でも、こーゆー風に出題編の真実が語られるのは、楽しい。
すごいワクワクですよ。

<<<罪滅ぼし編>>> 2005/08/22

賛否両論(笑)。だよなぁ。今回はレナ視点から物語が語られる部分が多いけど、、そのときのモノローグでのレナが、今までのレナの違いすぎて、暴走の仕方や暴走っぷりが、前回目明かし編の詩音と区別できない(笑)

で、レナが暴走する前提になるのが、リナ&鉄平の殺害になるわけだけども。
そして、そんなレナの犯罪を、圭一達が無条件でかばうと決めた仲間意識が、祟殺し編での圭一が鉄平を殺害した際の状況にもつながってくるワケで。
罪滅ぼし編で埋めた死体をレナに秘密で移動させた園崎なら、祟殺し編で誰にも内緒で埋めたはずの鉄平の死体も園崎が移動したんだろうという予測ができるのね。
罪滅ぼし編で、暴走するレナを客観的に圭一がみる事で、鬼隠し編での圭一の行動が説明されてくのね。
ここらへんの回答の出し方は面白い。

ただ、前回の目明し編でも謎は残ったというか、放置されたものがあった。
意図的に放置されたのか、鬼隠し編でちらばした謎をすべて解明させるつもりは最初からなかったのか、なんか歯切れが悪い感じがする。細かい問題まで説明し尽くす回答編は永久に出ないのかもしれない、と思う。

しかも、平行世界の記憶を辿れる能力者の圭一とか、平行世界をループしまくるリカちゃんの存在とか。
言ってしまえば、かなり卑怯な設定が次々と明るみに出てるし(笑)
「暇潰し編」でそれらしい世界観がちらりと臭わされるけれど。
それを考察に加える事は、「推理」ではなく「ファンタジーな妄想」になる。
何でもありの世界の中で、何を「考察」する事になる?
「何でもあり」なら、「何でもありえる」んだから、なにも考える余地はないですよ。
「実は、こんな未知の!不思議な!ありえない!XXXX があったのです!」と言えばいいだけになっちゃうし。
それじゃあ、「物語」として、何も面白味もないじゃんね。
あとねぇ、最後のあの戦闘シーンは、なんかもう、全然いらないから。もっともっと短くていいから。
今までの流れからでは、考えられないよ。警察官が大量に屋根の上の殺し合いをただ、黙ってみてたなんて。
あの大石ですら。いきなり違うゲーム世界に飛ばされちゃったなー、という感じでした。

今まで楽しんできた「ひぐらし」の世界が、ちょっと思ってたのとちがかったのだと、はっきり認識させられた編でした。

<<<皆殺し編>>> 2006/01/12

今までの回答編と違い、オープニングからいきなりのSF視点でした。
なんつーか、いきなりアマチュア臭が強くなったな、と。
10年前に既に語られつくしたパラレルワールド、運命ループの設定を延々語られちゃったりして。
出鼻をくじかれるというか、別な意味で驚かされました。
なんで、いきなりこんな稚拙な事になってるのか、と。正直、だいぶ読み飛ばしました(笑)
このオープニングは、好きじゃないです。生理的に。

んで、今回は祟り殺し編の解にあたるらしく、サトコがターゲットです。
祟り殺し編では、突然の叔父の帰還で再び虐待地獄に陥ったサトコを、地獄に入る前に救う展開です。
仲間!団結!信じる!勇気!が執拗に繰り返されるのです。
圭一達がサトコの為に団結すればするほど、当のサトコを置いてきぼりに、「サトコの為に団結してる自分たちって、かっこいいよな!」って熱さがさぁ。
ここら辺の狂信的な盛り上がりを、「熱い展開」と感じられる感性は私には無くて(笑)
あと、大挙して役所におしかけるのであれば、大挙して、北条鉄平自身に抗議した方が早いと思うんだけど。
村中で、サトコを守る姿勢をみせれば、北条だってもう村には入れないでしょうに。
何故、ここに来てどうしても政治的な解決が必須なのか?
どうして、そこにリアリティを求めるのか。どうにもバランスのおかしさを感じる。

国家的陰謀の引き金となったのが、雛見沢にだけ発生する病原菌と、「女王」ウィルスの存在。て。
感染性があるにも関わらず、雛見沢という土地以外では、繁殖しない未知の病原菌だし。
「未知の薬物」の作用で「未知の不治の病が発症」して「喉をかきむしらずにいられなくなる」って、あーた(笑)
「未知」を、何の裏付けもなく「存在」させる強引さは、なんつーか。無茶やったなーと。
あと「女王」ウィルスってあーた。これまた、ものすごい飛び出しましたよ、と(笑)
多分、どうしても、集団殺戮の指揮を、鷹野が取るシーンを書きたかったんだろうなぁ、と。
そんで鷹野に馬鹿みたいに「我をあがめよ!」なんて、独り言を叫ぶシーンが書きたかったんだろうなぁ。と。
罪滅し編の後半からも確実に臭ってきていた「作者が熱くなっている文章」ってのが、どんどん私を置いてきぼりにしますよ。
「作者が熱くなって悦に入りながら書いている文章」は、「物語的を熱くさせて盛り上がる」とはイコールにならないですね。
むしろ、そういう盛り上げたい部分でこそ、冷静に文章の表現行うべきだと思うなぁ。

「綿流し編」
面白かったです。恐怖演出も効いてました。
たたみかけるような謎の連続と、揺さぶられ続ける不安定感。
どーするの?どこ行くの?どーなるの?
最後は惨劇。
この物語はどこへ転がっていくのか。
どこへ転がされていくのか。何を見させられるのか。
徹底的に絶望的な最後の惨劇が、どうにも不気味で、黒い底なし沼にいる思いでした。

そして、それが、ワクワクするほど面白かったのです。

でも、今当時の感想を見てみると、「鷹野に裏がある」のは確定してますね。
ただ、それが「政治的な黒幕」と思うには、あまりにテイストが離れすぎていたんだな、たぶん。

「祟殺し編」
圭一の妄想&暴走っぷりが、いっそすがすがしかった!(笑)
ここまでイっちゃう主人公は初めてでしたよ。
見事なまでの暴走っぷりでした。
雛見沢の閉塞感と、夏の暑さと、蝉(ひぐらり)の鳴き声。
全部がゆがんで溶けていく感覚は、ねっとりとして、ひんやりと心地悪く不気味でした。
そして最後はまた惨劇。
でも、沢山の謎が残りました。
結局、完結しても、橋から落ちた圭一が何故軽傷だったのか、あのインタビューはなんだったのか、さっぱりわかりませんでしたね。
恐怖演出の起きっぱなしは、この祟り殺しが一番多かったかも。
ここで初めて「軍」とか出てきてるので、「政府がらみ」と睨む事は可能だったのかも。
でも、そんな陳腐なオチは誰も期待してないので、あえて誰も考えなかったように思います。

「暇潰し編」
感想残してません。ちゃんと読んだけど(笑)
読んだ当時、意味不明だったので。
梨花ちゃんに巫女としての特殊能力があったとして、毎回惨殺される梨花ちゃんが、何故あらがえないのか。
もう一つ、人知を超えたナニかがいるのか?
つかぶっちゃけ面白くなかったのですよ。「暇潰し編」は。
だから、読んだ当時、何の感想も残らなかったんだと思います。

「目明し編」
大絶賛しました。
これが「解」か。こうやって語られるのか!
ワクワクしました。真実の語られ方や見せられ方に。
詩音が本当の本筋にはあまり関わっていないと思った点は、いいとこ着目したかな、と自画自賛です(笑)
ま、誰でも思った事ですけど。

「罪滅し編」
ここから明らかにトーンが変わってきます(笑)
> 細かい問題まで説明し尽くす回答編は永久に出ないのかもしれない
ビンゴ!ですね(笑)
この時点から、細かくちりばめられた演出としての推理ポイントの最終解決をする予定は、もう、無かったんだと思います。

「皆殺し編」
> 「作者が熱くなって悦に入りながら書いている文章」は、「物語的を熱くさせて盛り上がる」とはイコールにならないですね。
> むしろ、そういう盛り上げたい部分でこそ、冷静に文章の表現行うべきだと思うなぁ。
結局、完結編の「祭囃し編」でも、これは続行されました。
私的には、何よりもこの部分がイヤだった。
この部分を、もう少し学んでいてくれたらなぁ・・。

同人ゲームだからこそ、ユーザの指摘や批判を聞く事ができる位置にいたはずなのに、どうしてこういう事になったんでしょうね。
聞く耳もたないアマチュア感覚を同人ゲーム姿勢のままに、いたずらに規模だけ広がってしまったからかなぁ。。

残念です。

でも、これ、PS2版になって、文章や視点な語り人称なんかが整理されれば、もっと面白く感じられるはず。
だから、待ちます。
本当に楽しみに待ちます。
PS2版が、本当の完結編になると信じてます。