「誘拐ラプソディー」:荻原 浩
- 誘拐ラプソディー
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- 発売元: 双葉社
- 発売日: 2004/10
- 売上ランキング: 15926
- おすすめ度
お気に入り度:
「ハードボイルド・エッグ」風な、ドタバタコメディ。
ダメな主人公のシチュエーション・ギャグという感じ。
これ、「ハードボイルド・エッグ」よりかなり痛い主人公(本当にダメ)なので、好きになれなかった。
ついていけなかった。
それから、ヤクザの息子の伝助に、リアル子供感がちょっと足りなかった。
アニメや漫画に出てくる程度の、生意気な子供風。
んじゃ、つまらなかったかっつーと、そーでもない。
面白かった。
話的には、特に中盤!
我が子が誘拐されたというのに、非常に冷静に狡獪に、ある意味ヤクザらしくないほどの演技力を見せながら対応していた父親が、身代金受け渡しの時、ついに自分の中の「子煩悩魂」に屈服するのです!(笑)
走る電車から見た我が子の姿に、それまで「ヤクザ魂」で冷静に押さえていた「子煩悩魂」が炸裂!
自ら、身代金を差し出してしまう。
ここんとこの描写が、もー!すっごいよかった!!
知的なクール眼鏡ヤクザのお父さんがさ!ただの「子供大好きパパ」になっちゃったのよ。
それまで、子供にさえ、そんな自分を隠してきていたというのにさ。うくくくく!
ここの屈服感は素敵。
好きなシチュエーション!(笑)
で、以後は、流れのままにって感じで。
ヤクザのお父さんもあんまりでなくなっちゃって、主人公・秀吉だけじゃあ、のりきれなくて。
ラスト、事態が収拾していく理由も、なんかリアリティないし、ご都合主義すぎっつーか。
「馬鹿だなぁ。ダメ人間だなぁ」と笑いながらも、最後まで、主人公が好きにはなれなかったんだよねぇ。
それがなぁ。
ちょっと残念かな。
でも、私の地元が多数でてきたので驚いた。
高砂のイトーヨーカドーが小説の中に登場するだなんて!(笑)
あんなチープなスーパーが、小説の中に登場するなんて、ありえないっしょ!(笑)
他にも知ってる地名や風景描写があって、小説で地元が描写されたのなんて初めてだったから、すごい新鮮だったー。