下町の商店街
私はちゃきちゃきの下町ッ子
東京都の中でもうんと千葉よりの地区に住んでいました。
下町の商店街のど真ん中の八百屋です。
商店街がすっかり廃れてしまった今と違って、私が小さい頃の商店街は、映画かドラマの中のように、人情味溢れる素敵な所でした。
私は、商店街に育てられたと言ってもいいくらい。
家の外に出ると、必ず私を知っている人がいます。
つか、私を知ってる人だらけです。
私が知らなくても、うちに来るお客さんや周りのお店の人は、私が「八百屋の子」だと知ってます。
私は商店街の子でした。
商店街は、全部私の家でした。
漫画「よつばと!」の様に、他人様の家に平気であがりこむのが日常でした(笑)
特にお気に入りは、向かいにある花屋さんです。
退屈するといつもあがりこんで、スミちゃんというお姉さんに遊んでもらいました。
時々厳しいけど、とても可愛がってくれて、一緒に市場に連れてってくれたり、配達に連れてってくれたり、映画にも連れて行ってもらいました。
スミちゃんにはサッちゃんというお姉さんがいて、サッちゃんはデパートで働いていました。
私はサッちゃんも大好きで、出勤するサッちゃんの後を追いかけて、一緒にデパートに行きたがって、困らせたりしてました(笑)
スミちゃんのお父さんは、アイスクリームの卸をしていて、当時珍しい小さな冷蔵車にいっぱいアイスを積んで、いろいろな所に運んでいました。
「じぃちゃん」と呼んで、とても可愛がってもらっていました。
一緒に銭湯に連れて行ってもらった事もあります。
今では、お向かいさんだからといって、ここまで信頼するのも難しいですが、当時はそれが、当たり前だったんです。